フリーランスやノマドの「お金の悩み」が減りづらく「詐取されやすい」理由 -2013.08.13記-




フリーランス、という仕事の「おかね」のハナシ。


金銭について書くのはあまり品のいいことではないから、少しでもソフトになるように……「お金」ではなく「おかね」と表現してみる。無駄な抵抗に思えないこともないけれど。


会社組織に属さずフリーランスで働いている友人知人が多い。ライターだったり、デザイナーだったりディレクターだったり、プログラマーだったりプロデュース業だったり。もちろんわたしも、フリーランス。作家・エッセイストといえばたいそう立派な肩書きっぽいけど、しょせんは無所属。

「ほしょー」もなければ、「安定」もない。

それでも好きだから、辞められないし、やめたくない。わたしの場合は「不安定」をどこか楽しんでいるところもある。んー。違うな。苦しいことや大変なことも多いけれど、それすら「楽しもう」としてる、ってのが正しいのかも。

一流でもない限り、情熱大陸やカンブリア宮殿などに出演しない限り 笑 ごくごくふつうのフリーランスの多くが「ギャラの未払い・不払い」「とんずら、かまされる」「夜逃げされる」「当初の予定ギャラより、安くたたかれる」「仕事のデキに難癖をつけられた挙句未払い・安くたたかれる・不払い」といったトラブルに1度は遭う――と、聞く。

かくいうわたしも、本業の作家ではなく副業のひとつであるプランナーの仕事で、夜逃げをされた経験があります。
地獄の果てまで追い込んでやろうと思ったけれど、んなことやってる時間もないほど「ヤバイ状態」に陥ってしまったため、追い込むのは生活を立て直してからに。

こういったことが、わりと日常チャメシで起こるフリーランスという「弱い」立場。



ではなぜ、こういったことが起こるのかというと――


『断ると、次がない』と思っちゃう
そこにつけ込まれる・足許をみられる

フリーランスは仕事をしないと(=なんらかの結果を出さないと、っていう方がいいのだろうか)ギャラが入ってこないことが多いので、『断ると、次がない』=『断ると仕事がない』=『生活ができない』んですよね。

たとえば、今書いてるコレ。
自分のサイトですから、どれだけ熱を入れて書こうとも1円にもなりません。しかし、これが「どこぞの企業からの依頼」で執筆している場合は、3~5万円のギャラが発生します。※わたくし春乃れぃの定価です。

ですが、中にはこういった依頼があるんです。
いや、違うな。こういった風に「ふっかけてくる人・企業」もあるんです。

「ギャラは払えないんですが、これこれこういうメリットが(あなたに)あるはずなので、決して悪い話じゃないと思いますよー」

「ギャラは5000円なんですけど、うちと取引の実績があるとこれこれこういうメリットが(あなたに)あるはずなので、決して悪い話じゃないでしょう?」


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目の前に「腐ったニンジン」をちらつかせて


断ると、次がない
たいしておかねにならない仕事だけど、これを機に羽ばたけるかもしれない
おかねにはならない仕事だけど、これを請ければ次に繋がるかもしれない

といったフリーランス特有の「弱み」につけこんでくるヤカラの多いことよ。

正規の取引実績が何度もあって、お互いに信用があって信頼関係が成り立っていて「今回はごめん……ギャラ安いんだけど」「いいよー」とはまったく違うから。



腐ったニンジンをちらつかせる手口


はじめから、腐ったニンジン・食えないニンジンをちらつかせて「ほーれ、ほれ。ほしいだろー」「マズいけど、これすら食いたいだろーお腹すいてっしょー」みたいなやり方は、本当に嫌いです。虫唾も走りゃあ反吐も出るぜ。

夜逃げされるという手痛い失敗から、腐ったニンジンはほしがらないように決めたので仕事の依頼は激減したけれど、すばらしいクライアントさんと単価の高いお付き合いをさせてもらってます。

じゃなきゃ、心がすり減るんだってば。
じゃなきゃ、後輩たちが可哀そうなんだってば。



おかねの心配はなにより心が疲弊する。心が荒む。


作家になって4年目くらいだったかな、あまりにも条件の悪い(=ギャラの低い)仕事依頼をいただいたので「……うむむ」と断る姿勢を見せたところ

「あなたよりも売れっ子の××先生は、この単価で仕事を請けてますよ」的なことを言われたのよね。それが嘘か本当かは分かんない。わたしは××先生と知り合いでもなけりゃ面識もないし。

だけど、××先生ご本人の知らぬところで「こんな風に名前が使われる」という恐ろしさと、編集者の非常識さ&高慢ちきな態度に白眼むきながら泡ふいた。仮に、仮に、××先生が本当に超安ギャラで仕事を請けたのだとしたら――。

「自分は高収入だから、安ギャラで請けても困んないだろうけど……こちとらまだまだ地に足ついてないんだよ。後輩(新人)のこと、もっと考えてくださいよ」ってカチコミ行ったかもしんないな。行かないけど。

――という自身の経験から。勝手に名前を使われるのもヤダし、後発の、まだまだ足元がグラつきまくってる新人作家の方たちが安---く使われたり、腐ったニンジンを無理やりクチに突っ込まれたりしないように「春乃れぃ、超生意気。売れてないくせに、超生意気」と言われても、労力に見合わない仕事は断るようにしています。

自分のためにも、同業者や後輩のためにも「相場汚し」「適正価格崩し」はしたくない。じゃなきゃ、ほんとキリないぜ。


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日本に住んでいるのに日本のことをとやかく言うのは気がひけますが……ま、でもわたしアメリカ育ちの台湾ミックスだからいいや。せっかくだから書いちゃお。

日本って『無から有を創りだす人』『0から1を生み出す人』の扱い悪いよ。立場、低いよ。契約書に明記されてる条件、こっちサイドに都合いいことなんて、なにひとつとして書かれてない。マジで。

だからわたしは契約条件を、わたしに都合のいい欧米システムに変えて、その条件で「握手」してくださる出版社としか仕事をしないようにしました。

だって、気持ちよく仕事したいもの。気持ちよく、いいもの、書きたいもの。自分のために。んでもって何度も言うけど、見たことも会ったこともない後輩作家・ライターのために。

「無から有を創りだす人」と『それらを使う立場の人』どっちが偉いとかそういう話ではなく、正しい評価をしてほしい。正しい契約にしてほしい。

だって新人や売れっ子未満のフリーランスは「これが業界のルールなんです」って言われれば、「この契約条件がのめないなら、このお話はなかったことに」と言われれば、クビを縦に振るしかないんだもの。



フリーランス・ノマドの選択肢は


「のむ(断わらない)」「のめない/のまない(断る)」の2つあるように思えるけど、違うよ。「のむ」という選択しかないんだよね。新人や、売れっ子未満のフリーランスには。

そこを分かってて、腐ったニンジンをちらつかせて。えらそーな立場を利用して、挙句の果てに未払い・不払い。ヴァアアアアアア!!!  むかつくわ、ほんと。って思う事件が、この8月だけでわたしの周りで7件(=7人のフリーランス)も起きちゃって。ついつい長文書いちった。

わたしにも新人の頃があったし、多額のギャラが支払われぬまま夜逃げされた経験もあるから思うんだけど――「労力に見合ったギャラ」を要求するのは、本当はアタリマエなんだよね。もちろん、堂々と「払ってくれ」と言えるだけの結果は出さなきゃいけないんだけど。



ただ、おかねのことって。ギャラ交渉って。


言いづらい。口に出しにくい。言い出しにくい。どうしてだか「あの……支払い、遅れてませんかぁぁぁ……」って再請求・催促しづらかったりするんですよね、不思議と。

でも、やっぱり言わなきゃソンするだけ、詐取されるだけ。向こうを「ラッキー」にさせちゃうだけ。こっちは損ばっかして、ひとつの得もとれやしない。



-わたくし春乃れぃの最新作- 


   

外国の著名なクリエイターがこんなことを言っていました。


「おかねを生まない仕事は仕事じゃない」

「どれだけ大変な思いをしようが、毎日机に数時間かじりついていようが、1ドルも得られなかったならそれは仕事じゃない」

「ビジネスとはおかねを得ることだ」

し び れ た 。


フリーランス、とか。ノマド、とか。かっこよさげなカタカナ職に憧れる人、憧れさせよう的な風潮があるのかな? それはそれでいいけど、苦労するもしないも本人の勝手だし。でも「仕事は来るのに、ギャラ来ない」ってなフリーランスやノマドって、実のところかなり多いんじゃないかなーって思ってます。

フリーランス特有の「おかねの苦労」は心が疲れすぎるから、荒みすぎるから。


未払いや不払いで「後で疲れる」よりも、すごくすごく言い出しづらいだろうけど、自分のために先に交渉をする・きちんとした契約を交わすという「疲れることほど、はじめに済ませておく」方が、わたしはいいんじゃないかなーって、思ったりするのです。9年目の作家・エッセイストとして、思うのです。

2013.08.19に記/超バズった記事です

 

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